SONYとPANASONICの深い関係
【SONY】
SONYは1958年、東京通信工業から社名変更されたもの。社名の由来はラテン語の「SONUS」(音)と近い英語「SONNY」(坊や)にある。ただし、これでは「損に」と読めてしまうのでNを抜いた、というのが定説だ。
SONYといえばプレステ。しかも、その由来はなんと「坊や」だった!
が、その事情はもうちょっと深いものらしい。
●深谷さんの情報
東京通信工業(東通工)時代にテープレコーダーのテープを開発した(当時はまだワイヤーレコーダーでした)ときに、パッケージに紙テープと間違われないようにラテン語の『音』(sonus)から取ったsoniというブランドがあって、それだと英語圏の人間に「そない」と読まれてしまい、記述のようにsonnyにすると「損に」と日本人に読まれるのでsonyになったという話でした。(参考文献:電波新聞「わが回想録 戦後生まれの世界企業ソニー」平山秀雄)さらに、追い打ち。
●小川坊さんの情報
ソニーですが、正解は、両説の合体です。ソニー創立50周年にソニーから発行された社史「源流」で確かめました。'55年に、ソニーが「世界最初のトランジスタラジオ」を目指して、惜しくもアメリカの「リージェンシー社」に先を越された、 TR-55 (ソニーに詳しい、「若い人」なら、あれっと思う型番ですね。そうです、爆発的ヒットとなった、ハンディカム 8mm ビデオの初代が、この「栄光の」背番号をもう一度付けたのです)を対米輸出する際、考えた商標が SONY です。その時の選択基準は、 sonus と sonny で。あとこの社史には載っていませんが、別のところで、なるべく英語じゃない無国籍な名前を盛田さんは選んだ…と。それは世界中のどこでもなじめるように、と。当時、日本製品は、アメリカでは、アメリカ人がわかりやすいように、全部英語風な名前を付けて売っていたのです。そこには「日本製は安かろう悪かろう」という固定観念があったのも関係しています。
これで、アメリカで非常に有名になったソニーはようやっと、 '58 年 1月から、日本での正式社名を「ソニー」に変更するのです。
同封の写真は、その「源流」に載っている、 Soni-tape と、 Sony のロゴです。写真に説明が全くないので不明ですが、載っているページからして、どうやら、この写真は左右二つにわかれていて、左が、東通工時代に Sony を商標として扱っていたころのデザイン、右が、社名を Sony にした直後の、デザインのようです。 Tapecoder (テープコーダー)という名前が懐かしい(おいおい、おれはそんなに年じゃないよ…でも子供のころ、ソニーのテープコーダーを祖母が使っていた:-)
小川さんが送ってくれた写真。なんと!幻の「Soni」ブランドが!
【情報】
ソニーのテープには SONI のブランド名がつけられていることは既に写真入で説明されていますが、その録音済みステレオテープに STERECORD という商品名が付いていました。いい名前ですね!もう昭和32年ころには民生用のステレオ音源があったのです。(nakajixさん)
●ソニーの由来ですが、ソニーのサイトに「公式発表」?がありました。
社名を東通工からソニーへ変えた経緯:
http://www.world.sony.com/JP/Fun/SH/1-7/h4.html
「ソニー」という名前を考えた経緯:
http://www.world.sony.com/JP/Fun/SH/1-6/h2.html「ソニー」の効果:
http://www.world.sony.com/JP/Fun/SH/1-7/h2.html社史「源流」と、ちょっと、配列が違いますが、ほぼ同じことが書いてあると思います。(小川坊さん)
【PANASONIC】
音といえばPANASONICのSONICもソニーと同じ「音」が語源だった。
「松下電器の音響機器ブランド「パナソニック」は造語。PAN=「すべて」を意味する接頭語+A=接続語+SON=「音」を意味する語根+IC=英語で形容詞を作る接尾語。「すべての音響に関連した」という意味。(UCHITANIさん)」(語源探偵団 造語略語編)
●nakajixさんによれば、詳しくはこんな経緯らしい・・・・
1)PANASONIC の SONIC は既に説明されている通り「音の」の意味ですが、なぜ音なのでしょう?
それはPANASONICが最初は松下電器製商品一般のブランド名ではなく 8P-W1 というスピーカー(裸の)に付けた商品名だったからです。このスピーカーは「げんこつ」のあだ名で昭和30年ころにその音の良さでかなり人気のあった商品でした。(げんこつとは音を拡散するためのゴルフボール大の玉がスピーカーの真ん中に付いていたからです) このスピーカーをアメリカのアライドという電気・電子部品の通信販売会社が輸入しアメリカで売り出した時につけた名前が PANASONIC でした。 (多分このスピーカーは松下電器製のアメリカ向け商品の第一号ではないでしょうか...?)2)松下電器が製品(トランジスターラジオ)をアメリカに本格的に輸出し始めたのは昭和37年ころではないかと思いますが、松下電器が使っていた NATIONAL というブランド名が既にアメリカの National Union というラジオ会社に所有されていたため使用できず PANASONIC をアメリカで売る松下電気製品のブランド名にしたわけです。(尚、松下電器はその後 NATIONAL ブランドを National Union 社から買い取っていますがその時には既に PANASONIC が有名になっていたのであえてブランドの変更をしなかったのでしょう)
3)蛇足ですが、PANASONIC が有名になりまたカラーテレビが花形商品となったころには松下電器は PANAVISION という商品名がほしかったでしょうが、残念ながらこれは既に映画用カメラのブランド名として有名でした。日本を代表する2タイプの家電メーカーの語源に、奇しくも「音」が潜んでいたというお話でした。