NECとTEPCO
NECを「ニチデン」と呼ぶ人は、最近めっきり少なくなってしまった。日本電気はやはりNECなのである。かと思えば、東京電力はいまでも「トーデン」であり、だれも「テプコ(TEPCO)」とはいわない。テプコって、原子力発電所でしょ?なんてかんちがいしている人もいるくらいだ。このちがいはなんなのでしょうか?
ドコモとIDO
たとえば、NTTやJRの社名は?といきなり問われると、口ごもってしまう。分割してから、よけいにわかりにくくなった。わかりにくいといえば、NTTドコモとIDO。もちろん、お互いに携帯電話のライバルなんだけれども、それにしては正式社名がまぎらわしい。ドコモは「NTT移動通信網株式会社」IDOは「日本移動通信株式会社」。ビジネスマン諸氏のなかには、見積もりや請求書の宛先をまちがえて、たいへんな思いをした人もいるだろう。競合だけにシャレではすまされない。これは、織田裕二現象ともいうべき悲劇である。いずれにしても、記号系コミュニケーションネームが成功している証といえる。※NTT移動通信網株式会社は平成12年4月、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモに社名変更しました。日本移動通信株式会社は10月にKDD、DDIと合併し株式会社ディーディーアイになりました。
JAとJT
NTTとおなじくJRもすっかり定着してしまった。もう他の名称は考えられないくらいだ。ではJA(農協)とJT(日本たばこ産業)の場合はどうか?JAはそれなりに親しまれているようだ。いっぽうJTは・・・どうしても「日本たばこ」と呼ばれてしまう。このちがいはなにか?いたずらに「J」をつけても定着しない、ということだ。ビクターがいい例である。だれも「JVC」とはいわない※。
アルファベットで成功する鉄則
これらの例から、ややゴーインに略称成功の鉄則をあみだした。
1)耳慣れた発音にすべし!
TEPCOの敗因は読みにくさにあった。
2)正式社名は平凡・無機質に徹するべし!
日本電気、日本電信電話・・・等。ビクターの敗因は、ビクターそのものが個性的だったこと。
3)正式名称は難しいほどいい。
日本たばこ、みたいに覚えやすいものはダメ。下記参照。
【略称リスト】
それぞれ成功しているか否かは、みなさんで判断してください。
NTT(Nippon Telegraph And Telephone Corporation )
DDI(第二電電)
KDD(国際電信電話)
JR(Japan Railway Company)
JA(Japan Agliculture)
JT(Japan Tobacco)
JH(Japan Highway)
JRA(Japan Racing Association)
JVC(Japan Victor Company)
JAL(Japan Air Lines)
JAS(Japan Air System)
ANA(All Nippon Airway)
ECC(Education・Communication・Community)
IBM(International Business Machine)
IIJ(Interenet Initiative Japan)
TDK(東京電気化学工業)
TBS(Tokyo Broadcasting System)
NHK(日本放送協会)
TOTO(東陶機器)
TBC(東京ビューティセンター)
YKK(吉田工業株式会社)
TKC(栃木県計算センター)
(まったく順不同)
※【異議あり!】日本ビクターの広告には、必ず「JVCは日本ビクターの世界ブランドです」と謳われていますが、これは「ビクター」の名称が、商標の関係で海外では使用できないらしいことと関係しているようです。ですから、日本国内で「JVC」が一般化する必要は,必ずしもないのかもしれません。(鈴木浩利さん)