富士通の香辛料


富士通はフジヤマではない

社名の由来なるほど辞典で富士通の語源を、たぶん世界一シンプルに「古河電工(ふ)ジーメンス社(じ)通信機(つう)」と書いたところ、いきなりレスの嵐になってしまった。多くの意見は「富士通は富士電機の通信機器事業部独立からきているんじゃないでしょうか?」みたいなもの。たしかに、それが正解です。でも、それだけでは、ちょっと口が寂しくないですか。語源探偵団で紹介するにはダシやスパイスがたりないのだ。

突然ですがここで質問。「富士通のフジは富士山のフジですか?」おそらく99%の人は「YES」と答えるだろう。オフィシャルにもそうゆう意味をもたせているかも知れない。ところがこれ、意味は正しいが、歴史的には正しくない、が正解なのだ。

【富士通ミニ沿革】

1923年 富士電機製造(株)創業

1935年 同社の通信機器関連部門を分離し富士通信機製造(株)を創設

1967年 富士通(株)に改称

これだけでは日本電報通信社が電通になった程度の変化でしかない。問題は「富士電機のフジ」なのだ。繰り返すけれども、これは富士山が語源ではない。こんな資料があるので引用してみる。

「ドイツから来日したジーメンスの技師ケスラーは古河電工の創始者古河市兵 衛と懇意になり、両社が合弁で大正12年に富士電機を設立した。富士の名は古河とジーメンスの頭文字から付けられた」(藤村哲夫 わが国の電気事業と電力技術

☆ジーメンス=シーメンス(SIEMENS)社のこと。今はこちらの読みが一般的。

☆参考画像「富士通ロゴマークの変遷」(CI Laboさん)古河(f)シーメンス(S)らしき?「fs」マークがある。

ワールドワイドなスパイスを和風に仕上げた逸品

富士通のお父さん富士電機は、なんとVWに次ぐドイツの大企業ジーメンス(シーメンス)社と古河財閥のサラブレッドだったのだ。つまり、フジ=ふ(古河電工)じ(ジーメンス)の定理。え?何かに似てない?スルドイ突っ込みありがとうございます。富士通と日商岩井の合弁事業、かのniftyのことでしょ?NI(日商岩井)F(富士通)tyが不明※・・・話を戻します。で、この富士電機の創業って、初の日独提携事業だったんだそうです。このようなワールドワイドな素材を、しかもジャパネスクな「フジヤマ」でまとめたあたり、富士山クラスの最高峰のネーミングだと、ワタシ、思うのです。とはいっても、たしかにこれは富士電機の話であり、富士通の由来としては直接的ではないんですが、このような香辛料を味わってみるのも、たまにはいいでしょう。

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☆ニフティ情報

 ◎NIFTY はもともと BBS の名前で、 英単語そのものです。【(口語)しゃれた、粋な、立派な】みたいな訳が辞書に出ていました。
 つまり、NIFTYを経営している会社名がNIFで、それは、お書きの通りの語源と聞きました。で、そこがやっている BBS を NIFTY と…。もしかすると、今は社名自体が NIFTY ?でも、そうだとしても、最初は「ニフ株式会社」でしたよ。
 もうちょっと…。 NIFTY は正式には NIFTY-Serve で、それは、この BBS のノウハウだかをアメリカの CompuServe と契約(提携)して得てはじめたからのはず。ですから今でも NIFTY から CompuServe への gate があり、確か日本からは NIF に契約する形で CompuServe ID を取ったと思います(従って請求は NIF から来る)。
 その後、さらに富士通がNIFTYを全額買い取って、持っていた InfoWeb と合体させ @NIFTY…に。その富士通は…上記の「富士山じゃない」に戻る、というわけです。(小川さんの情報)

◎私の記憶ではniftyの"ty"はタイムパス(tympass)というVAN業者の名前であったと思います(纐纈昭徳さんの情報)

☆ニフティ社員さんからの情報(Mさん:社の公式コメントではありません)

niftyの社名の変遷について誤解があるようなのでMailいたします。詳しくはhttp://www.nifty.com/corp/history1986-1991.htmでご確認ください。

さっそくHPを拝見しました(以下、化猫のコメント)。

1986年2月 株式会社エヌ・アイ・エフ(NIF)誕生
1986年3月 米国パソコン通信サービスCompuServeの国内販売開始
1986年9月 社名をエヌ・アイ・エフ株式会社に変更
1987年4月 NIFTY-Serveサービス開始
1989年4月 CompuServeからNIFTY-Serveへのゲートウェイを開始
1990年7月 NIFTY-ServeからCompuServeへのゲートウェイを開始
1991年4月 社名をニフティ株式会社に改称
1999年3月 富士通株式会社の100%子会社化
1999年11月 ニフティサーブ、InfoWeb 両サービスを統合し、新サービス@nifty(アット・ニフティ)を開始

とありました。どうでしょうか?整理できましたか。でもワタシ、気になったのは創業約半年で、社名を前(株)→後(株)に変更したこと。どんな理由からなんでしょうかねえ。ご存じの方、いませんか?

☆この件に関して上記のMさんから、早速レス(これも公式コメントではありませんが)

「当時の親会社である日商岩井の関係会社に同じ略し方の株式会社日商岩井フーズ(略称 株式会社N.I.F)というのがあったからまぎらわしいということで変更したと聞いています」

☆富士通社員さんからの情報(さわけんさん)

(中略)化猫さんが書いておられるように、まず親会社としての富士電機があり、これは古河+ジーメンスのフジで漢字は日本一の富士山からとったということです。実際は「フとジで富士になってゴロが良い」というような感じだったと思いますが‥‥。そして部を会社として独立させた富士通信機器をみな略して富士通と呼んでおり、67年にその愛称をそのまま正式な社名として採用したというわけですね。私が社名の由来を説明するときは簡単に「富士通のフは古河のフ。ジはシーメンスをドイツ語読みしてジーメンスのジ。通は元は通信会社だったから」と言ってます。