『群書類従』ってどんな本?
古書の散逸・消失を危惧した塙保己一が41年の歳月をかけて収集、校訂、編さんした正編1270種530巻666冊からなる日本最大の国書の叢書(シリーズ本)。江戸時代初期までに刊行された1273種の歴史・文学作品を収録している。有名な『浦島太郎』や『かぐや姫』などの物語も、また『枕草子』や『方丈記』といった古典文学も、『群書類従』がなければ、どこかに放置されたまま消えていたかもしれない。『群書類従』を編さんするにあたり、保己一が参考にしたのは、菅原道真の『類聚国史』だった。主観的な著書ではなく、客観主義に徹した史書である点が、普遍的な価値となっている。編さん作業は門人とともに和学講談所で行われた。文政2年、保己一が亡くなる2年前74歳の年に『群書類従』が完成した。総冊数665冊、目録1冊、計666冊。木版刷りで使用した版木の枚数17,224枚。昭和32年、国の重要文化財に指定。今日、その出版は財団法人温故学会が引き継いでいる。江戸時代から今日までおよそ70万冊が出版され、和本、活字本のほかにCD-ROM版も登場している。古典文学や歴史研究に不可欠な資料として、今なお、多くの研究者に利用されている。